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古代の歴史を今に伝える岩船大祭

古代の歴史を今に伝える岩船大祭

石の舟に乗って神様が訪れたという伝説が残る村上市の岩船地域で、500年以上の歴史を持つといわれる岩船大祭を見物しました。

岩船大祭のシンボル「お船様」を載せたおしゃぎり。

豪華絢爛(けんらん)、古式ゆかしい例祭

その昔、ニギハヤヒノミコトという神様が石の船に乗って訪れ、漁業や農業を教えたという言い伝えがある岩船地域。ニギハヤヒノミコトは「古事記」「日本書紀」にも登場する神様です。
岩船大祭はこの伝説にもとづき、「お船様」をシンボルにした石船(いわふね)神社の例祭です。
船魂(ふなだま)祭りとも言われ、新潟県無形民俗文化財に指定されています。



石船神社の鳥居。岩船大祭は毎年10月18日に宵祭、19日に本祭を行います。

19日の朝5時ころ、岩船港近くにある石船神社を訪れました。深夜に宵祭を終え、本祭に向けてぴんと張りつめた空気が漂っています。
町のどこからか「タンコタンタン…」と先太鼓の音が響いてきます。

太鼓は「やれ かか おきれ、おぐわまま ふかせ(さあ母さん、早く起きて赤飯を蒸してくれ)」と言っているのだと、石船神社氏子総代会長の磯部幸雄さんが教えてくれました。

磯部幸雄さん。今年は氏子代表として御神輿の警護の役目で参列。

まずは、岩船の地名の由来を聞きました。
「ニギハヤヒノミコトが乗ってきた船は、石ではなく、堅固な舟だったと言われています。この地に航海や農耕の技術を教えたという伝説から岩船という地名がついたようです」。
『いわふね』という地名は全国各地にありますが、それはニギハヤヒノミコトが37人の武将を方々に遣わしたからという説もあるそうです。
この地は古くから交易の要所であり、石船神社にはニギハヤヒノミコトのほか、京都にゆかりのある貴布弥明神(きふねみょうじん)の神様3体も合わせて祀られているそうです。

「岩船大祭は一年に一度、神さまたちがお船やお神輿に乗りうつって、人々の生活をご覧になる日なのです。だから、この日はみんな玄関や窓を開けているんですよ」。
空が明るくなるにつれ、9つの町のおしゃぎり9台が石船神社前に集まります。

町中を練り歩く祭礼行列の順に並ぶおしゃぎり。

「彫刻のまちですから、細工は見事なものですよ」と磯部さん。村上の伝統工芸である木彫堆朱(ついしゅ)・堆黒(ついこく)をあしらい金箔を施したおしゃぎりが、ずらりと並ぶ様は壮観です。
二層造りの上に乗る恵比寿や大黒天などのお飾りは各町内の神様で、岸見寺町はお船様、横新町は御神馬(ごしんめ)をのせています。

御魂遷し(みたまうつし)の神事へ

神事のために、丘の上に立つ石船神社に向かいます。

おしゃぎりがそろうと先太鼓とお船様と御神馬が石船神社の参道を登って神様をお迎えにいきます。
絵巻物のような行列です。
堆朱が塗り重ねられた美しいお船様と御神馬はそれぞれおしゃぎりから降ろされ、若い衆が運びます。

力を合わせてお船様を運びます。

社殿の前で御魂遷しの神事が執り行われ、神様の魂がうつったお神輿と一緒に参道を降ります。

御神馬は「白駒(しろこま)」と呼ばれています。

いよいよ町に入る前の本木遣り(ほんきやり)の奉納です。
岸見寺町の若い衆がおしゃぎりにお船様を乗せ、お神輿に向き合います。

岸見寺町による本木遣りの奉納。

「げにやめでたき かみよのむかし…」
紋付羽織姿の歌い手が辺りに美声を響かせ、おしゃぎりの曳き手である若い衆が一節ごとに野太く勇ましい声で音頭をとります。しばしの間、先太鼓もお囃子も鳴りを潜めてみな聞き惚れる、祭りの見所です。

重さ3トンから4トンもあるおしゃぎりを曳くのは中学3年生から42歳までの若連中。威勢のいい掛け声で呼吸を合わせます。
お囃子台に乗り込む子どもは中学2年生くらいまで。
とても真剣な表情でバチをそろえ、元気よく合いの手を入れます。

各町内特有の節回しで魅了します。

子どもが減っているため、よその町内から呼ぶこともあるそうです。
笛や鼓は町内に名人がいます。明るい調子ながら哀愁漂う音色は心に染み入ります。お囃子は京都から伝わったと言われています。

おしゃぎりを曳いて町を練り歩きます。

おしゃぎりは、ご祝儀をいただいた家を回り、木遣りやお囃子で返礼します。
車輪が「ギシギシ…」と軋む音をたて、通りを右へ左へゆったりと曳かれて行きます。

お祭りの日は無礼講。あちこちの軒先で笑い声がこだまします。

お祭りは「神様がいらっしゃる日」という気持ちから、どこの家でも紅白幕を下げ、玄関や戸を開け放ち、無礼講でもてなすのが習わしだそうです。地域を守る神々を大切に思う気持ちが溢れています。
「おめでとうございます」とおしゃぎりの曳き手や警護の衆が次々に訪れ、盃を交わしています。

「よかったら寄ってくださいな」と言われて入ると、代々各家に伝わる立派な屏風や漆器などが。「岩船では一年を十三ヶ月で割って、一月分は祭りに使うと言われているんですよ」と家の方。岩船の人が祭りにかける想いは相当なものです。

おしゃぎりの掛け合いも見どころです。

お祭りも後半。お船様を乗せた岸見寺町と、鮮やかな花傘の惣新町のおしゃぎりが曲がり角で出会い、掛け合いが始まりました。
お互いの木遣りとお囃子を負けじと声を張って披露し合います。
合いの手が繰り返され、声の渦になったその時、ぱっと花傘から桜吹雪がまかれ、歓声があがりました。お互いをたたえ、拍手喝采の中、おしゃぎりは離れていきました。

夕方になるとおしゃぎりには提灯が下げられ、昼間とは一味違う幻想的なムードに。
お船やお神輿に乗った神様を真夜中12時に神社にお送りするまで、地域の歴史を伝えるお祭りは続きます。

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