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file-112 子どもも大人も大好き、新潟の絵本(後編)

 

大人も惹きつける絵本


 グラフィックデザイナー、イラストレーター、WEBデザイナーなど、デザインのプロでもある絵本作家が創作する絵本が、次々と登場しています。可愛くて個性的な絵、思わずくすりとさせられる展開、真似したくなるレシピなど、大人も惹きつける魅力を備えた作品たちを紹介します。

メッセージを伝えたい

イラストレーターの挑戦

ちいさなライオン〜夢の番人〜

絵本の売上のうち1冊につき200円が、小児がんの子どもを支える活動の支援金として「ハートリンク」に寄付される

ちいさなライオン〜夢の番人〜/エイキミナコ/第一印刷所
※画像は第一印刷所より

 イラストレーターのエイキミナコさんのデビュー作「ちいさなライオン」は、デザイン専門学校時代の実習作品として描かれ、平成23年(2011)に発行された絵本です。けれど、その発想の元は、エイキさんが小児科病棟に入院していた13歳のときに抱いた思いや、その時から描きためていたイラストなのだそうです。「私よりも小さい子どもたちが、がんばって病気と戦っている、その子どもたちに力を与えたい、応援したいと思ったとき、強くてやさしいライオンが心に浮かび、物語が動き始めました」と、エイキさん。物語には、「あきらめないで、願いは叶うよ」というメッセージが込められています。
 勇気の象徴のライオンは、エイキさんの他のイラスト作品にも登場します。萬代橋を背景に、また、小児がん支援のゴールドリボン運動のマークと一緒に描かれ、今日も「負けないで」とエールを発し続けています。  

 

化け猫

「がんばって郵便を届けるポストマン。仕事に誇りをもつ姿を描きたかったんです」/あんどうさん

ポストマン/あんどうともこ/アスラン書房
※画像はアスラン書房ホームページより

 現在は東京三鷹市にお住いのあんどうともこさんも、イラストと絵本を描いています。アートスクール在籍中に描いた「ポストマン」が絵本のコンクールに入選し、平成14年(2002)に出版されました。その絵は、絵本というジャンルではとてもユニーク。「直接心に響くような絵が好きでそれを絵本にしたんです。出版社の方にも迫力を評価してもらいました」
 その後、家族を持ち、近隣の児童館などで読み聞かせ活動を始めます。子どもたちに読み聞かせをする中で、「絵本は子どもを楽しませるもの、子どもの心を豊かにするものですが、絵本を読んでいる私も心に栄養をもらっていることに気づきました。大人になった私の中の『子ども心』を豊かにしてくれました」その経験を生かして作品を制作。スマートフォンで楽しめる絵本アプリにもイラストや絵本を提供してきました。
「今は家族や親戚で登った弥彦山の経験をもとに絵本を描いてるんです」と、あんどうさん。「最近は、三鷹市の絵本コンクール(星と森の絵本の家「回廊ギャラリー展示絵本原画公募」)で優秀賞をいただきました。天体と宇宙がテーマだったのですが、子どもの時に家のベランダから見た月や、高校の時に友だちと見た流れ星が心象風景としてあって描けたのものだと思います。これからも『子ども心』を豊かにできる絵本を作っていきたいです」と、自作の構想を膨らませています。  

 

デザインの力を発揮

 柏崎市のシンボルマークは、赤い夕陽と青い波とコウモリ。市内の福浦猩々洞(ふくうらしょうじょうどう)に2万頭ものコウモリが生息していることから、シンボルに採用されました。  

 

かんべさん

「読み聞かせしたときの、子どもの真剣なまなざしや笑顔など、生の反応は一番励みになります」/かんべさん

 そのコウモリを主人公にした絵本があります。柏崎市に暮らすかんべあやこさんが描く、コウモリの「モリくん」シリーズ。モリくんが季節の食材で車を作るというお話です。
「偶然なんですよ。市のシンボルだから主人公にしたのではなく、先入観のない子どもたちなら、一般的に可愛くないと思われる動物でもすんなりと受け入れてくるかなと思って決めたんですよ」と、かんべさん。
 東京でイラストレーターとして活動していた頃、仕事の幅を広げられたらと、プロ絵本作家養成塾に通ったのが、絵本作家への第一歩になりました。やがて、平成21年(2009)に柏崎市へUターン。その翌年に、モリくんシリーズの第1作「モリくんのおいもカー」が、くもん出版より刊行されました。
「背景は柏崎の風景、海もちょっと暗めの日本海の色です。描きながら、新潟の自然が身体にしみこんでいるんだなと実感しました」
 その後、「モリくんのりんごカー」は第31回とっとり読書絵手紙・感想文コンクール課題図書に、「モリくんのすいかカー」は第43回京都新聞お話を絵にするコンクール選定図書に選ばれました。また、既刊に韓国語版、中国語版はシリーズ5冊刊行が予定され、新潟から世界に向けて絵本を発信しています。  

 

モリくんのあめふりぴーまんカー

嫌いなピーマンをモリくんが食べられた、お話の中の料理のレシピも掲載。「お母さんたちの参考になればと思って」

モリくんのあめふりぴーまんカー/かんべあやこ/くもん出版

 平成29年(2017)発刊の「モリくんのあめふりぴーまんカー」はシリーズ6冊目。「今回は、家族と食卓を共有して、楽しいごはんの時間を過ごしてほしい。それが明日の元気を作っていくのだから、という思いを込めて書き上げ、食育を意識しての作品になりました」  

 

 新潟でおいしいごはんといえば、お米。新潟米で作るおむすびは最高だ、という思いから、おむすびを主人公に絵本を書いた作家がいます。新潟市で商業デザインを手掛ける事務所を主催するあだちあさみさんです。  

 

夢二

絵も文字も手書きにこだわって制作。「おむすびのほっこりした温かさを表現しました」/あだちあさみさん

おむすびちゃん/あだちあさみ/新潟日報事業社
※画像は新潟日報事業社ホームページより

「デザインの仕事で農家さんとおつきあいがあるのですが、今は、県外にもブランド米が次々と生まれ、苦労されています。新潟にはせっかくおいしいコシヒカリがあるのだから、子どもたちにもっとお米を食べてほしいという、農家さんの声に応えたくて」、平成27年(2015)に「おむすびちゃん」を発行。
 あだちさん自身もおむすびが大好き。「美味しさだけでなく、つくった人の気持ちがこもっているから、食べると温かく、優しい気持ちになれますよね」
 絵本には様々な種類の、見ても楽しいおむすびが登場します。「絵本を読んでおむすび食べたくなっちゃったっていう声がうれしいです。親子で一緒に作ったら、コミュニケーションも生まれますよね。私と子どももそうですから」  

 

 新潟の絵本作家の目を通して構築される絵本の世界は、親しみやすく、温かなメッセージが込められていました。子どもも大人も、新しい発見ができそうです。   

 

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