第8回 神秘的な現象オーロラを映像で体験

新潟市中央区にある新潟県立自然科学館は、自然や科学について子どもから大人まで楽しく学べる施設です。見るだけでなく、触ったり体験したりすることで好奇心をくすぐる展示も多く、また、プラネタリウムは日本海側最大級です。

同館の講堂で、極北のオーロラの映像を見ながらお話を聞くイベント「オーロラが私たちに語りかけるすてきなメッセージ-太陽活動絶頂期のオーロラを体験しよう!」が、11月28日(土)に開催されました。

大自然が作り出す光のカーテン、オーロラ。

お話は北海道出身のオーロラメッセンジャー、中垣哲也さんです。
「奇跡とも言える地球の素晴らしさをオーロラを通して伝えたい」と、2007年に札幌医科大学附属病院の診療放射線技師から転身。「オーロラメッセンジャー」と名乗り、1年のうち3分の1はアラスカやカナダで取材活動をし、残りの月日は日本全国を回って上映会や写真展を開催しています。

中垣哲也さん。オーロラの写真集も出版しています。

あっという間に定員90人に達しました。

自然科学館1階講堂にたくさんの人が集まりました。

「オーロラを一度はみてみたい」という願いに応えてくれる中垣さんの上映会は大人気です。どこの会場でも満員と聞いていましたが、新潟でも開演前から長蛇の列です。
会場には小さな子どもから大人まで集まりました。

オーロラは太陽と地球の奇跡のコラボレーション

オーロラの特殊映像などをスクリーンに投影します。

2001年に趣味のカメラを持って星空撮影にニュージーランドへ行った時、偶然にも真紅のオーロラを見てすっかりとりこになったと言う中垣さん。
オーロラはどこにどうして出るのか、その謎を分かりやすく解説してくれました。

「オーロラが見られるのは地球の北極と南極です。地球は大きな磁石のようになっていて、磁気圏というバリアーを形成しています。このバリアーが、危険な電磁波が飛び交う過酷な宇宙空間から地球を守ってくれているのです。
太陽から放出された電気の流れ(プラズマ)が、この地球の磁場と相互作用を起こして発電します。そのエネルギーは磁力に導かれて両極に集まり、酸素や窒素の粒(分子・原子)とぶつかることで光りを放つのです。これがオーロラです。
オーロラが放つ色は大気の種類によって決まっています。酸素分子が作る緑や赤色は生命があることを示す奇跡の色なのです。

また、太陽と地球の絶妙な距離感により、地球は水にあふれ、大気に包まれ、生命が存続できる適度な温度がある。私たちは自然の奇跡的なバランスで生かされているということも、オーロラの輝きは教えてくれます。感謝ですね」

オーロラを求めてアラスカへ。湖のほとりで食事中。

これまで50回以上も極北を訪れている中垣さんは、時には仲間を募って旅をします。

「アラスカはラストフロンティアと言われ、豊かな自然が残る未開の地です。水やトイレはもちろんありませんから、十分な装備と食料を準備してキャンプします。
夏は白夜のために夜が暗くならず、オーロラを見ることができません。秋はアラスカの自然を満喫しながらオーロラも楽しめる絶好期です」。

野生動物と仲良く共存している様子も紹介されました。
ビーバー、ハクトウワシ、ヘラジカ、クマ、カリブー(野生のトナカイ)、ドールシープ(ヒツジの一種)。

「ヘラジカに会えたらラッキーですね」と中垣さん。

ヘラジカの写真はデナリ国立公園内で撮影されたもの。開園期間はパークレンジャーという自然保護官がいて、「決して食べ物を与えないこと、刺激しないこと」など、来園者に徹底指導しているそうです。

こちらは撮影機材。千載一遇のきらめきに出会った時のために、ぬかりなく準備します。複数の場所で発生するオーロラに備え、三台同時に三脚を据えるそうです。

オーロラを撮影する機材。

美しいオーロラの下、湖に沈むテント。

テント泊で、夜に起き出して撮影する日々。
待ちに待った貴重な瞬間に、テントが大風で飛ばされて湖に沈んでしまったこともあるとか。
南緯45度のニュージーランド南島で、磁気嵐という大規模な地磁気活動の際にまれに見られる赤いオーロラ。遂に出現した決定的瞬間に、突風が吹きました。極寒仕様の寝袋ともども湖に沈んだテントのシルエットを写したのが上の写真。悲しいエピソードながらも美しいですね。

中垣さんはダイナミックに動くオーロラを連写し、その連続した写真をぱらぱら漫画のようにつなげて動画を制作。超高感度ビデオでは表現出来ない、繊細なオーロラの色を再現できるようになってきたそうです。

樹氷とオーロラ。

「空がこんなに賑やかなのに、全く音がしません。不思議な気分ですよ」と中垣さん。
上映会では、オーロラがゆっくり形を変えてゆらめく姿にイメージがぴったりの、中垣さん自作の音楽が流されました。
何万年も前に放たれた星の光と、今この瞬間しかないオーロラの共演。

秋の水辺のオーロラ。

次々と息を呑むような光の夜空が目の前のスクリーンいっぱいに広がりました。

奇跡の惑星に生まれたことを気づかせてくれるオーロラのメッセージ。「今この一瞬を精いっぱい、輝いて生きてほしい」と中垣さんは伝えます。
上映会の後には、中垣さんが出版したオーロラの写真集やDVDのサイン販売会が行われました。

オーロラのイラストが入ったサインでした。

「新潟でも昭和33年にオーロラをみたと言う方が会場にいらっしゃいましたよ。資料があったらほしいですね」と中垣さん。
また、今回の投影はプラネタリウムではありませんでしたが、「他県では、既に10カ所ほど行っています。プラネタリムで上映すると、より臨場感があります。次回はぜひ新潟でもやりたいですね」と、中垣さんをはじめ参加者からも期待の声が挙がりました。

関連リンク

オーロラダンス事務所

新潟県立自然科学館

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